どっちがお得!?eMAXIS Slim 米国株式 vs 全世界株式(オルカン)

旧NISA時代から圧倒的な人気を誇る「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全世界株式(通称:オルカン)」ですが「結局どっちが良いの?」という点について、私の中でずっと謎でした。

私の初期的な理解だと「オルカンは、その現ポートフォリオ上米国株式の占める割合が相応に高く、S&P500などの米国株式のベンチマークにある程度連動する」ということです。なので、今の時点で話をすると正直どちらでも良いという感覚を持っていました。

ただ結局のところ定性的な材料から「どちらでも良いのでは?」という結論を導いていただけであって、他の誰かに説明するに足る理論を何も持ち合わせていないことになります。そこで今回投資の運用シミュレーションを使って検証してみることにしました。皆さんもこの2つの銘柄、どっちがお得なのか気になりませんか?

それではさっそく内容に入っていきましょう!

目次

新NISAの人気銘柄を徹底比較:eMAXIS Slim 米国株式 vs 全世界株式

eMAXIS Slim 米国株式と全世界株式(オール・カントリー)の違い

「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全世界株式」は、いずれも「三菱UFJアセットマネジメント株式会社」の運用する「投資信託」です。

主な違いの一つはベンチマークですが、冒頭にも書いたとおり基本的にオルカンのベンチマーク「MSCI ACWI」はそのポートフォリオの6割以上が米国株式によって構成されています(2024年1月時点)。したがって、少なくとも当記事執筆時点においては「ベンチマーク」が大きな差になっているとは必ずしも言えないんですよね。

まとめ表を見てみましょう。

ざっと目を通してもらうと分かると思いますが、ここに列挙した項目で異なるのはベンチマークと経費率のみです。

経費率に関しても軽くコメントをしておくと、この2つの銘柄の関係性については正直意外でした。何が意外だったかというと、管理の観点で言えばオルカンの方が煩雑そうなのに米国株式よりも経費率が低かったことです。ここでは詳しく言及しませんが、米国株式がマザーファンド1つを介して対象株式に投資しているのに対してオルカンは3つのマザーファンドを介して投資しています。有識者からすれば「そこじゃないんだよ」という話なのかもしれませんが、専門外の人間からすると不思議です。

さて、違いの話はこのくらいにしてシミュレーションへと移りましょう!

「MSCI ACWI」は、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社(Morgan Stanley Capital International) を指数算出会社とする全世界インデックスファンド(All Country World Index)の略語です。

お得なのはどっち!?eMAXIS Slim 米国株式 vs 全世界株式(オール・カントリー)

まずは運用シミュレーションの前提を整理しましょう。比較のために揃えられる条件は揃えています。リターンの説明は少し長くなるため後述することとしますが、どちらも同じ期間のリターンをとる形で計算したものを適用しています。オルカンはそのポートフォリオの構成上米国株式と類似した値動きとなりますが、リターンも概ね近しい数値となっていることが確認できますね。

さて、この条件で運用シミュレーションを回すとこんな感じになります!

経費率についてはオルカンの方が低いもののその差は僅少でリターンは米国株式の方が1.5%ほど高いため、「eMAXIS Slim 米国株式」の方がオルカンよりも280万円お得という結果になりました。

本シミュレーションに使用したリターンの算出方法

ここは興味のある方だけ読んでいただき、そうでない方は読み飛ばしてもらって大丈夫です。勉強熱心な投資家さんはぜひ読んでください!

今回シミュレーションに使用した運用リターンは、各ファンドのベンチマークとなる銘柄の株価を使って算出しています。リターン算定の起点は、パフォーマンスの算定期間を揃えるために設定日が後ろのファンドに合わせています。今回比較している「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全世界株式」の設定日はそれぞれ「2018年7月3日」と「2018年10月31日」でした。なので2018年11月1日以降の月次の株価推移を取り込んで計算を回しています(今回は各月の1日時点株価を「Investing.com」を使って収集しました)。

さて、ここで問題です。皆さんは、複利計算の計算式をパッと言えますか?さらっと言えた方も言えなかった方も下のスライドをご覧ください。

「a2-finance.com」より拝借した図を左下に貼っています。これが複利計算の算式です。では、元本と運用後の金額、計算期間を所与として「利率」を計算するにはどうすれば良いでしょうか?これは複利の計算式を回答できる人の中でも答えられない人が出てくるのではないでしょうか。複利計算の式を変形すると、次のようになります。

r = {(A/P)^(1/nt) – 1} * n

S&P500の数値を実際に当てはめてみましょう。すると次のようになります。

r = {(A/P)^(1/nt) – 1} * n = {(4,739/2,760)^(1/62) – 1} * 12 = (1.717^0.016 – 1) * 12 = 0.105 = 10.5%

少し難しいですが、自力でパッと計算できるようになるとなにかと便利なので、自分でシミュレーション回したいという方はこの機会に覚えておきましょう!

まとめ/コメント

いかがでしたか?実績ベースのパフォーマンスは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の方が「高い」という結果になりました。あくまでシミュレーションですが、10年で約300万円の差ができるとなるとオルカン信者の方も投資対象を考えてしまうかもしれませんね。

ただ、今後米国以外の国が盛り上がってくる可能性を考えると、オルカンの方が夢があると言えるかもしれません。いずれにせよ投資は自己責任です。ご自身が納得のいく銘柄に投資していきましょう!

ではでは~

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